2018年9月22日土曜日

Ai AF Nikkor 50mm F1.4S の分解清掃

Ai AF Nikkor 50mm F1.4S

フィルム時代のカメラ小僧であった際には一眼レフはオリンパス党だったのだが、デジタルに移行する頃からはニコンに改宗してしまった。標準レンズと言われている50mm をニコンボディでは既に処分してしまったレンズも含め、なぜか一本も所有した事が無かった。近い焦点距離はあるのだが、50mm は無い。あ、ズームではあるけど、単焦点とは別物。

ニコンFマウントのニッコールレンズは長い歴史の中で同じ焦点距離同じ絞りのレンズがいくつも有り、名称だけでは非常に分かりづらい系統である。開放絞り1.4の50mm だけでざっと調べて以下のようだ。

NIKKOR-S Auto 50mm F1.4
NIKKOR-S C Auto 50mm F1.4
New Nikkor 50mm F1.4
New Nikkor 50mm F1.4S
Ai Nikkor 50mm F1.4
Ai Nikkor 50mm F1.4S
Ai Nikkor 50mm F1.4S Gold
Ai AF Nikkor 50mm F1.4S
Ai AF Nikkor 50mm F1.4S(New)
Ai AF Nikkor 50mm F1.4D
AF-S NIKKOR 50mm f/1.4G

間違い、漏れなどがあるかも。
このうち、下4本がオートフォーカスレンズで、また下2本は現行販売している商品である。今回入手したのは、下から4つ目のオートフォーカス最初の50mm f/1.4 である。


発売から30年程経過しているハズなのだが、塗装ハゲなども見受けられない結構綺麗な状態でネットオークションにて入手した。


ニコンの最小絞りロックは、自分が知っているのはスライド式レバーだけだった。コレは押しながら90度回転させる方式で、今回始めて知った構造である。


最短撮影距離は0.45m で一般的な距離である。New が追加された後継機では、ピントリングがプラスチックの狭い幅から、ゴムを巻いた幅広に変更されたそうだが、基本的にAF で撮影するのでゴムの劣化の心配しなくて良いコチラのが好みである。

さて、オークションでは美品でカビも曇りも無い、との謳い文句であったのだが、確かにその通りの商品ではあった。が、非常に細かいホコリが結構中に入ってる…
また、当初は気づかなかったのだが、最短撮影距離近辺、具体的には0.5m を切る辺りより近い撮影をしようとすると、近距離側にはAF が作動するのだが、そこから無限遠側に戻ってくれない、というか戻ろうとはしてるのだが引っ掛かってしまう。手動でピントリングをチョット廻してやると動くのだが。MF に切り替えて廻して見ると、確かに若干ではあるが繰り出した時に回転が重い。ただ、マニュアルフォーカスだと気にならないレベルではある。

そんなワケで、分解清掃

良い子は絶対にマネをしないでね~


まずは、前玉の化粧リングを取り外す。カメラ用のゴムツールが市販されてたりするのだが、ホームセンターで椅子とか机の脚用ゴムキャップで代用。なぜか写真は無いw
ゴム脚を押さえ付けながら反時計回りに回転させると、フィルターのネジに沿ってリングが取れる。前玉や保護レンズを化粧リングで押さえてる構造のレンズもあるが、このレンズは外しても何も他には取れない。


この赤い色の部分だけ取れる。コレはコレで悪く無いのだが、決して現物に色が塗られているワケでは無い。あくまで図示するためにフォトショった。以下コレで行こうw


化粧リングを外したら、赤い…いや赤く示した金属製のリングをネジ3個で外す。レンズの分解で注意しているのは、精密ドライバーは良いモノを使うこと。またドライバーの着磁器があるとネジを落としにくく便利。万が一に備えてレンズの上をなるべく通過しないように工具などを動かすこと。


金属リングを外すと、鏡筒前部のプラがゴソっと抜ける。赤いと金属質に見えるが、黒いエンプラ製。んで、こいつを取ると…


この画像の上下2本のネジを外すと、絞り機構より前のレンズが一体になって抜けるようになる。ホコリが結構裏側にいたので、ブロアでシュポシュポ。どこから入ったのか一体の内部にも微小なホコリが居るのだが、今回は手を出さずにこのまま。というか分解して戻す自信が無い。作業中のレンズの保管には要注意。


赤くないw
絞り羽根に油滲みはほとんど無く綺麗な状態。前側からの作業はココまで。ひっくり返してマウント側から攻めて行く。


既にネジが3本外されているが、画像左上のシアンの部分はオートフォーカス用のカップリングなのでそのまま。てか赤じゃ無いのか。



マウントに電気接点はあるものの、鏡筒には一切接続されていないので真上に引き抜いても問題無い。マウント裏側にNEC 製のD7554G の載った基盤がある。これはマイクロコンピュータなので、CPU 内蔵レンズと呼ばれるワケだ。


マウントで保持されていたシアン色のAF カップリングと、赤い金属製の絞りリング連動カムはひっくり返せば落ちるので、レンズを傷付けないように取り外す。ついでに絞りリングも上に引っこ抜く。





絞りリングの裏には溝が彫られており、鏡筒側には板バネに突起が付いている。絞りのカチカチが鳴る理屈は単純だ。どこのメーカも似たような構造だが、板バネが沈んだり溝側が削れて段々とクリック感が無くなってスカスカするのは当然かも。


色がウルサクなってきた…
左側2本の緑色のネジは、絶対にユルメないこと。このネジは絞りの開閉具合を調整する為なのだが、余程の事で無い限り触る必要は無いかと。開放し切らないとか絞り切らない時だけ用。シアンの3本を外すと赤い絞り連動レバーが取れる。右のシアンのマイナスネジは結構厄介。溝が細いのに幅があるので、精密ドライバーだと回しづらい。かといって一般のマイナスドライバーだと溝に入らない。適切に薄くて幅広のが必要。


分解最後のネジ達。4本外して直進ガイドを取り外す。この後はヘリコイドを緩めて外せるようになり、やっと清掃。折返し地点が見えてきた。


直進ガイドを外せば、絞り機構より後ろのレンズが回すと抜けるのだが、いきなり抜いてしまうと組付けに困る事になる。理屈は後回しでドコで抜けるかジワジワと探す事に。

今回のレンズは無限遠に合わせた場合、徐々にレンズ群を回して行くと、最小絞りロックノブと絞り機構のバネのネジが画像の辺りでヘリコイドから抜けた。コレを覚えておく。


ボルトとナットの場合、一回転するとネジピッチひとつ分だけ進む。このレンズは、半回転に満たない程度で8mm 程レンズが動く。かといって、1回転するピッチが16mm あるようなネジにはとても見えない。フィルター径52mm のレンズ内部なのに。

レンズのネジは、多条ねじと言って、ピッチの大きいネジが複数刻まれている。


下品な色使いだw
1本に見えるネジは、実は複数のネジが組み合わされている。少しの回転で大きな移動を得られ、ガタが少ないようになっている。ネジの開始位置が変われば、本来の位置決めが出来なくなってしまうので、抜ける場所を確認していたのだ。

ようやく折り返し

ヘリコイドの内ネジと外ネジの溝には、グリスにホコリやらで汚れて動きが渋くなっているようだ。綿棒や爪楊枝と駆使して綺麗サッパリにし、グリスアップする事に。

グリスはその名もヘリコイドグリスとして販売されているのだが、いかんせん高い。いや絶対的に高価というのでは無いのだが、ちょびっとのグリスに何千円はどうにも納得がいかない。同じことを思うヒトは多いらしく、オ○ナインやワセリンとか先駆者の工夫はありがたい。


花粉症対策で手元に白色ワセリンがあるので、つけ過ぎないように様子を見ながら仮組みもして塗布する。ヘリコイド直進ガイドにも薄く塗ると動きが更にスムースに。
折返したら、全部は書かずにそのまま元に順番に戻る、だけの1文で。


無事元に組み上げると、いやぁ快適~
レンズ内蔵モーターではないのでAF はジーコジーコとウルサイし、逆光にはイマドキのレンズに比べるのも失礼なくらい貧弱なコーティングだが、やっぱり50mm F1.4 というレンズの王道を実感する。明るいレンズは開放で撮ってこそ。



2018年9月1日土曜日

ポチったでー、CWT社製 1450W 80PLUS GOLD認証セミモジュラータイプ電源 PUO1450V を

あれからイロイロと構成は変わっているのだが、その辺りは別途で。

販売店のメールマガジンで1450W 電源が8,980 円と出力の割に危険な香りのする金額で、また保証が90日間という長期保証wで販売されていたので、試しに人柱になってみた。

メーカはCWT。http://www.cwt.com.tw/
台湾企業であるが、あまり知られてはいない。PC 用の電源を主としてOEM 供給しており、名の知られているメーカ製品の中身はCWT だったりもする。自社ブランドとしてはあまり店頭流通しているようでは無い。

このPUO-1450v、主としてマイニング向けの製品らしく、PCIe 8ピン出力コネクタが10個もある。2分岐のケーブルが4本と分岐していないのが2本。SATA ケーブルは3分岐が4本の計12。4ピンのペリフェラルが3個とFDD 用コネクタをまとめた1本。これら11本はモジュラ式で、マザーボード用は直付け。通常のPC としては端子が過剰なのだが、まぁ大は小を兼ねるというコトで。

まずは外箱。店頭向けでは無いので、非常にそっけない。箱にはホントに何も印刷されておらず、判別するのは隅っこのシールだけ。


ケーブル類は、11本まとめてビニル袋に。電源ケーブルは個人的に使い勝手の良い2P プラグにアース線仕様。拡げるとケーブル多すぎw



さて本体外観。天面には大きな140mm ファンが鎮座。塗装の質感は非常に良い。




容量オーバーする事は無いのだろうが、一応注意書きが。5V のみで150W 出せ、3.3V も99W まで取り出せるのだが、5V と3.3V の合計で150W を超えないように。


どうせ保証は90日、単体で起動する事を確認しテスタで電圧チェックしたので、早速の腑分け作業。といっても開封するだけで、細かくは見ない、見えない。


天面の140mm ファン、型番から調べると1,400rpm、62.0CFM、29dB だそうだ。
場合によっては交換するかも。


コンデンサは、ニチコンGG 105℃ 2,000 時間なので思ってたより良しだけどGY だとなお良かったかなぁ。二次側は部品の影で良くわからない。


分岐のケーブルも含めてのPCIe が10個なので、プラグインのコネクタ自体は6個と、SATA 用等に5個ついてる。PCIe ケーブルの入力側と出力側は同じようなコネクタではあるが、誤挿入防止の四角とホームベース型のアサインが異なり、逆向きには接続できないようになってる。


危険な金額ではあったのだが、ググると元々3万円程で販売されていたようで、マイニング需要の落ち込みからなのか、そこから徐々に値下がりして安価になったようである。もう開けてしまったので保証も関係ないのだが、保証期間がネックかな。無駄に長い期間は必要ないのだが、やはり最短でも1年間はあるともう少し安心して購入できるかと。